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渡されたのは白紙の入部届けだった。
俺はすらすらとメカニカルペンを走らせて穴埋めしていく。決してきれいとは言えない俺の文字を長門は食い入るように見つめている。数秒で書き上がった用紙を手に取り、シワを伸ばしてから長門に手渡す。
『ほら』 長門は無機的に受け取り、少し俺を見つめてからカバンにそれをしまった。
その目線には感謝の念が込められているような気がした。
一日の授業を全て終えた俺は文芸部室に向かって発射されたハルヒという名前の爆弾を見送り、さて俺も行くか、と教室をでた。
ドアを開けると、俺の行く先の主である長門が気配もなく待っていた。
「どうした?」
いつもなら誰よりも先に部室で読書をしてみんなを待っている長門がここにいることに違和感を覚えて、ハルヒ絡みで何かあったのかという意味で尋ねた。
長門の返答は口からではなく目線によって送られてきた。『大丈夫、あなたが心配するような事態ではない』と。
いつの間にか力の入っていたらしい体から脱力感を感じ、今度は普遍的な意味で再び同じ事を問うた。
「で、どうしたんだ?」
クリクリした瞳を少し恥らわせて、数泊ののち口を開いた。
「連れて来いと言われた」
「俺を、か?」
誰が俺を呼んでいるんだ?長門を経由して呼びそうな人物を検索したが結果は該当なしだった。
「誰が、何故俺を呼んでいる」
「あなたが呼ばれたわけではない。あなたが選ばれたのはわたしの独断」
クラスであまりにも無口でいたからと通訳代わりか?たしかに長門の表情を読む検定でもあったら準2級くらいは取れる自信はあるが。
「好きな人を連れて来いと言われた」
さらっと教室の目の前で爆弾発言をする長門に教室内はどよめく。お前ら、盗み聞きしてやがったな。特に谷口、後で口封じの意味も込めて恐怖の体験をさせてやろう。
「誰にだ?」
俺の疑問は無視に近い形で却下された。
「きて」
その一言を最後に、伝えることは終わったと言わんばかりに俺に背を向けて歩を進めだした。教室にざわめきを残して。
訳のわからない事態に俺の脳内も訳もわからない妄想を繰り広げ、その妄想の多くはお花畑を長門と満点の笑顔で笑いながら駆け抜けるようなものだったが目的地のドアをあけた先にいたヤツの無愛想な表情によって現実に戻される事となった。
「遅かったな」
ニヒルな薄ら笑いをくっつけた、見るからに悪役である人間が待っていた。その部屋の入り口にいた俺は半歩後ずさって教室の名前を確認する。
『生徒会室』
まあこの生徒会長がいる部屋なんだ、想像はついたさ。
「で、俺が呼ばれた理由は?」
生徒会長は一瞬動きを止めて、
「なんだ、何も聞いてないのか」
と呟いた後でいかにもかったるそうな説明口調で教えてくれた。
要約すると、文芸部には部員が長門一人しかいないらしい。そのため廃部の危機であったり、当の長門が部長会議などに一切出席しないため部費が出ない状況であったりするらしい。喜緑さんの進言もあって長門を呼び出したはいいが、会長には長門と情報の伝達を図ることは不可能だったらしい。
そこで、まさに通訳代わりに誰か代理人として一人『好きな人を』連れて来いと言ったことらしい。
微動だにしない長門の様子を見ていれば長門を呼び出した状況もよくわかると言ったもんだ。
「それで、俺はどうすればいいんです?」
「簡単なことだ。お前を含めた涼宮ハルヒの一団に正式に文芸部に入部させれば人員不足は解決だ。それと、お前が副部長でも務めて部長会議は代理で出席すれば全ては解決する」
おいおい、うちの実質的なリーダーはハルヒだぜ。副団長には古泉だっている。
「だがそこの形だけの部長さんはお前を選んだんだ。まあ俺としても涼宮には部長会議なんぞに出席されたらたまったもんじゃあない」
よくわかります、会長。
「古泉はどうなんだ?会長さんともツーカーだ、最適だと俺は思う」
「その古泉から言われたんだ。お前を代表に選ぶことと、その方法を」
あの野郎、覚えておけ。
「そしてその方法通りに事が運んでいると言うわけだ。それに、そこの部長と完全に意思の伝達ができるのはお前だけなんだろう?」
確かに長門の言わんとすることがわからないでもない自負がないわけではない。だからと言って俺がナンバーワンかと問われればそうだと即答することはできないだろう。
「古泉が、このセリフを最後に言えと言っていた」
「何だ?」
「そこの長門さんの頼みだぞ」
横を見ると直立不動のままではあるが首から上だけをこっちに向けて俺の瞳に語りかけてくる。
「長門の頼みじゃあ断る理由なんてない」
まったく、やれやれだ。
会長を見ると驚いたような表情で、ボソリと言った。
「お前たちは、そんな赤外線通信みたいなやりかたで意思の疎通を図っていたのか」
言っている意味は2割ほどしか理解できなかったが、赤外線通信のような正確さはないぞ、と心の中でツッコミを入れておいた。
それから戻った文芸部室には長机の上に一枚の紙切れが置いてあるだけで誰もいなかった。
紙切れに書いてあった事。
『キョンが有希を誘拐したため本日臨時休止。キョンは明日覚悟すること』
はあ。
俺はそれを丸めてゴミ箱に投げ捨てて、さっき貰った白紙の入部届けに記名する。
長門はそんな俺の汚い字をさも楽しげに見つめている。あっという間に書きあがった入部届けのしわを伸ばして長門に渡した。
会長曰く、赤外線通信での意思の疎通、それによって得た俺と言う端末に届いた情報。
「ありがとう」
無言で受け取った情報を俺は口に出して返信した。
「どういたしまして」
あとがき、というか中間報告ですが、昔某サイトで書いたSSを書き直したネタです。
ただしオチというか終わり方は多少変えようと思っています。
一度書いた作品を書き直す作業というのはなかなか難しいです。
ノベライズというのでしょうか、すでにある物語を文章化すると、脳内に世界が完全にできてしまっていて、そのイメージが最初からあるからこそ省いてはいけない描写を省いてしまったり、それによって文章のバランスがくずれてしまったり。
よのなかうまくはいかないね
月曜日なのに機嫌悪いのどうするよ…
勢いで書いていたあの頃に戻りたい。毎週この時間にアップしていたあのころに。
朝5時とかにいつもいたわたし。
寝る前にSS書くことが日課だったのに急に私生活が忙しくなってそれにともなってSSネタも思いつかない状態がつらい。
今から看病ネタ書きます。
涼宮ハルヒの看病
朝比奈みくるの看病
長門有希の看病
古泉一樹の看病
佐々木の看病
5本立てでお送りいたします。
都合により修学旅行ネタは一時凍結いたします。ご了承ください。
わたしの無能ぶりを発揮するような駄文となってしまいました。
わたしは頭の中で妄想しながら執筆していたため、二人の長門の描写中で、どっちがどっちかわかりずらくなっております。
その時々に合わせて脳内補正しながら読んでいただければ幸いです。
申し訳ありませんでした
『長門有希の記憶』という題名に関しまして、一応一言。
消失長門と宇宙人長門で、共通する記憶(もしくは感情)というコンセプトで書きました。
つまり、消失長門は宇宙人長門が自分と同一だと認識して、宇宙人長門が言いたかったことを消失長門が、もう一人の自分のために言う、という話にしたかっただけです。
プロットの段階では意味のあった伏線がいつのまにか消えているのを書き上げてから確認しました。
3枚のしおりとか。
しかも、途中まではバッドエンドに向かっていた…
1万HIT達成しました。他のサイトさんから見れば微々たるものですが、わたしとしましては、のべ1万人もの方々がわたしの駄文を読んで、ほのぼの一家さんやそうとも言うさん、WEB拍手にコメントをくださる無記名の方々の恩恵に恵まれましてとても幸福に思っております。
さぁって、次回はどんな妄想を書き連ねよう。。。
無題短編のSSは、一応(仮)ということにしています。
長門有希の悪戯をシリーズにしようかな、とも考えてます。
だって長門さん大好きなんだもん。
悪戯は、『いたずら』であって『あくぎ』ではないです。
違いはわかりませんが、なんかいたずらのほうがかわいいので読むときは『いたずら』と脳内変換してください。
あと、SSメニューが少し見にくい気がしたので、作品のページだけリニューアルして見やすくしようと思ってます。
こんな遅筆な私でも一ヶ月間がんばったのである程度の数はできてしまいました。
わたしの妄想によってつくられた作品のうちどれだけが『駄作』の烙印を押されるのでしょう。
まあ私は基本的にMですのでけなされてもある程度はキモチイイですが(笑
久しぶりの更新となりましたが、ゴールデンウィークに予定のないわたしは2~3作品のアップを予定しています。
ゴールデンウィーク明けに暇つぶしにみてやってください。
ではよい連休をっ!めがっさおつかれっ!