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2章が一番長いつくりになっています。
で、3章からは再びホームページのほうに載せます。
……もう少ししたら。
現地(西宮市)に行った時に思いついたネタで、あまりにもありきたりなストーリーです。
オチとか見えても気にしないでください。
2章
その後、古泉が押したボタンの効果が発揮されて医者が数人のナースを引き連れてやってきた。
俺は色々な検査を受けたあとで医者とおふくろらしき人物との三社面談を果たし、結果は完全に記憶喪失であると断定された。
記憶は明日戻るかも知れないし一生戻らないかもしれないだなんてどこかで聞いたような説明を聞き流し、隣で絶望に似た表情の、おふくろと呼ぶには抵抗の残る中年のおばさんを見て、なぜかすごく申し訳のない気分になった。
おふくろは妹を家においてきたから一旦帰ると言ったが、正直俺には考える時間がほしかったのでまた明日来て欲しいと言った。
ごめん。そう口には出さずに呟いた。
病室に戻ると古泉と朝比奈さんを後ろに控えさせた涼宮さんと思しき人物が仁王立ちで俺と対峙する格好で待ち受けていた。
「アンタ、記憶喪失なんだって?」
不機嫌そうな表情で、しかも偉そうに言い放った。威圧するような態度だが偉く美人だ。艶のある黒髪に整った顔立ち。気の強そうな瞳を僅かに動かし、薄桃色の唇を開いて。
「アタシのことも覚えないの?」
何も言えずにいると涼宮は唇をかみ締め、眉間に力を込めて黙り込んだ。何を言ったらいいのかわからないといった表情だ。
もちろん、何を言ったらいいのかわからないのは俺もだ。情報が足りないどころかまったくないわけだし。
「さて、涼宮さん。彼もお疲れでしょうから日を改めて…」
「わたしはここに泊まるわ」
涼宮はきっぱりと言い放った。
「一晩中SOS団の活動を聞かせてやるわ。そしたら記憶が戻るかもしれない。それでも記憶が戻らなかったらSOS団でやってきたことを繰り返してやる。それでもムリなら引っ叩いてでも取り戻してみせる」
最初に思ったのは、強引な女だなってことだった。そのあとで『SOS団』というものに疑問を持った。そして、泊まると言い放った涼宮と俺の関係にも。
「俺はそのSOS団ってやつに所属してるのか?」
「当たり前じゃない」
涼宮は怒気を含んだ口調で言った。あたしが団長で、アンタは団員一号。二号はここにはいないけど有希って言う文学少女がいるの。みくるちゃんが団員三号兼メイド長兼マスコットよ、と朝比奈さんを指差しながら言う。最後に、と古泉を指差して謎の転校生で副団長の古泉くんよ、と。まるで我が事のように誇らしく団員を紹介する。なるほど、泊まるとまで言ったのはこいつの仲間意識の強さゆえか。
涼宮が言うにはどうやらこの病院を手配したのは古泉らしい。こんな高級な病室を手配できるなんてさすがは副団長とか言ってたっけ。知り合いの病院だから特別の待遇を受けられるらしいが、古泉ってどっかの御曹司なのか?
この病院に入院できるのが古泉のおかげだとはわかったが、なぜ俺が入院することになったのかは教えてくれなかった。
「古泉、俺とは仲が良かったのか?」
古泉はスマイルを崩すことなく言った。
「いずれ親友の肩書きを得る予定です。今はただのグッドフレンドですけどね」
程よい寒気を感じた。
それでは、また明日来ますと言って古泉と朝比奈さんは帰っていった。
残された俺と涼宮は、しかし何を話すでもなく定位置についた。俺はベッドに、涼宮は来客用に設置されたであろうパイプ椅子に腰掛けた。
説明が好きそうな古泉と違い黙った涼宮といると多少居心地の悪さを感じる。パイプ椅子に腰掛けた涼宮は無言で何かを疑うように俺の顔を見てくるし、何と言っても美人であるから緊張してしまうというのが3分の1の本音だ。
俺はベッドに寝転がって沈黙を打破できればという願いを込めて口を開いた。
「なぜ古泉も、その、涼宮もここまでしてくれる」
涼宮は一瞬悲しそうな顔を見せたかと思うと怒った顔になり、顔を赤くしながら
「SOS団の大切な団員だからよっ」
と言ってそっぽを向いてしまった。しまった、と思った頃には涼宮の機嫌はかなり損ねていたと思う。
額に手をやり、どうしたもんかと思案していると、涼宮が真面目な顔つきになった。
「あんた本当に覚えてないの?」
最終確認のように言われる。
「ああ」
何か、涼宮に対してひどいことを言ってしまった気がした。涼宮と俺がどんな関係なのかは知らないが、ここにいる俺は姿形に言動までソックリかも知れないが、思えの知っているキョンではない、と。SOS団で活動してきたキョンではなく、生後数時間のキョンもどきみたいなものだ。事実とはいえ、そんな『今日からこの人がお前のお母さんだ』みたいな現実を突き詰めてしまった。
涼宮は俯いてしまった。罪悪感がこみ上げる。胸が締め付けられる。鼓動が早まる。胃がきしむ。空気が重い。間が持たない。
「なあ、俺はどんなやつだった?お前とはどんな関係だったんだ」
涼宮がピクリと動く。
「さっき言ってたよな。SOS団の活動を聞かせてやるって。聞かせてくれよ」
「あんたはSOS団の雑用で、あたしのいわば部下よ。上司にモノを頼むときっていうのはそれなりの口の利き方があるんじゃない?」
ニヤリと笑った涼宮は上から目線で言ってきた。なるほど、こいつはこういうやつか。
「やれやれ」
そして俺は、涼宮から俺の学生生活を聞いた。
SOS団の活動内容、SOS団設立の経緯。部室の確保とおまけでついてきた部員。朝比奈さんの捕獲と朝比奈さんを使ったパソコン強奪事件。転校生古泉がSOS団にはいったのはこのころらしい。
それから不思議探索へ行き、野球大会に出場して、映画撮って、夏休みには孤島へ冬休みには雪山へ行ったとか。団員は俺を含めて5人だけど、準構成員として俺の妹がいることや鶴屋さんという人もいるらしい。そういえば目を覚ましたときに見た山は鶴屋さんの家が所有しているらしい。
他にも語りきれないほどの思い出があるようで、次々と細かい話を移り去って行く。
話をしている涼宮はとても楽しそうで、話の内容も実話ながらバカみたいで面白く、俺はずっと涼宮の話に聞き入っていた。
なんだずいぶんと楽しそうな高校生活を送っているじゃないか。SOS団の、とりわけ俺の失敗談を話している涼宮は生き生きとしていた。
何時間話したのか、涼宮が話しに一区切りをつけたころには辺りは真っ暗だった。古泉や朝比奈さんが帰ったときにはオレンジ色の夕日が空を漂っていたから相当な時間が経過しているはずだ。よくぞ飽きずにここまで話せるものだ。聞くほうとしては面白い話ばかりだったから飽きるなんてことは考えられんが。
「なあ、涼宮」
なによ、とこっちを見る。
「その、ありがとう」
涼宮は驚愕に満ちた表情を浮かべた。……どうやらキャラを間違えたらしい。想像はできたことだが涼宮の知っている俺と今の俺は完全に別人のようだ。
「団員の心配をするのも団長の役目よ」
そっぽ向いてしまった。
少しして、弱々しいノックの音が聞こえた。
俺よりも先に涼宮が返事をし、開かれた扉からはセーラー服の少女が姿を現した。
直感的にわかった。こいつが長門有希だ、と。
短めの髪の下に人形のように綺麗な顔がのぞく。キラキラと輝く星を持つ涼宮の瞳とは違って漆黒の輝きを持つそれは無表情ながらも「放課後職員室に来なさい」と言われた子供のようなオーラをかもしている。
「あなたと二人で話をしたい」
長門とやらの言う通りにしたほうがいい、と頭よりも先に体が長門に対してのセーフティ信号を出した。
俺は涼宮を見た。涼宮はなんとも形容しがたい表情を浮かべている。
「ちょっと、出てくる。待っててくれ」
涼宮が何を考えているのか、長門に連れて行かれる俺をどう思ったかはわからなかった。
1章
冷たい風が吹き抜ける。
部屋にある全ての布製製品が風になびく優しい音が聞こえる。
ここはどこなんだ。目を開くと真っ白な天井が見えた。シミ一つない天井が。
体を起き上がらせて周囲を見渡す。風の吹いてくる方へ首を曲げると、揺れる白のカーテンの隙間から覗く開いた窓からは緑色の山が見える。そう大きな山には見えない。反対側へ目をやると白いドアには曇り硝子が添付していて、この室内は白いモノで覆いつくされている。手元に目を落としてみても見える色はやはり白。眩いばかりの白さを誇る布団の上に俺はいた。心なしか俺の手のひらでさえも白く見えてしまう。
------、ズキッ
鈍い痛みが頭に響く。そういえばここはどこなんだろう。自宅でないことは明白だし知人の家にも心当たりがない。そもそも人が『住んでいる』ような雰囲気ではない。そう、ホテルとか病院のような------
頭痛を堪えて考えを巡らせていると、ふと目に入ったモノがある。ボタン一つでまるで使用人のように世話係が飛んでくるモノ、それはおそらくナースコール。
一瞬ナース姿の女性を妄想したりもするが、その女性が嫌に見覚えがあったりしないし、なぜ俺が病院にお世話になっているのかわからない。
------、ズキッ
そもそも俺が誰なのかさえ認識できていないことに気付いてしまった。
気付いた刹那に俺にはコトの重大さは認識できなかった。指先が震え、腕を経由して全身にまで寒気を伴ってまるで痙攣のように震えて初めて自分が恐怖していることに気がついた。値の張りそうなこの個室の病室さえも俺をあざ笑っているかのように感じる。いつの間にか止んでしまった優しい音のそよ風は静寂に変わって耳鳴りを覚えた。真っ白なこの部屋に無音で俺一人。
---俺はいったい誰なんだ。
ガクガクと震える体を押さえつけるように自らを抱きしめた。ちっとも安らぎなんかしない。何にも思い出せない。得体の知れない恐怖が全身を襲って呼吸をするのも苦しくなる。何故俺はこんなところにいるのだろう。俺は何をしているのだろう。俺は、何をしたのだろう、……過去の俺は。
------コン、コン
軽いノックの音が静寂を破った。苦しいほどに自分一人しかいない現実を体感していたため、自然と返事をしてしまう。
「どうぞ」
震える声で精一杯の返事をする。と、ドアの向こうからは慌てたような驚いたような可愛らしい声聞こえ、ガチャガチャと乱雑にドアが開かれた。
開いたドアから姿を現したのはさっきナース姿を思い浮かべたときのモデルになった人にソックリな可愛らしい女性と、その数歩後ろに立った背の高いスマイルが特徴的な、ハンサムに属されるような男性だった。
偉く幼く見える女性は驚きの表情をしていて、軽めのウェーブのかかった前髪の下、両手をかざした口元との間から子犬のような瞳を覗かせ、その瞳には溢れんばかりの涙を浮かべていた。
爽やかなスポーツマンのような男性も同様に驚いたような表情をしていたが、こちらはスマイルを崩さない。もしかしたらスマイル自体張り付いてしまっているのかも知れない。お似合いのカップルに見える二人ともが見覚えのある制服を着ていたが、どこの制服だかはわからなかった。
「キョンくん。よかった、目を覚ましたんだ」
入り口付近で飼い主を待ち続けた忠犬チワワのごとき瞳に安堵の表情を織り交ぜて可愛らしい女性はその場にへたり込んでしまった。
……キョン、それは俺のことか?
俺の状態を察したのかニヤけた表情の男が少し渋い顔にフェイスチェンジして手を顎に添えて、やがて思案顔に変化した。
この男に問いてみる。
「キョンとは、もしかして俺のことか?」
男はやっぱり、といった表情になった。少し考えてから男が答えをくれる。
「ええ。あなたは紛れもなくキョンと呼ばれる男性です。僕は古泉一樹。彼女は---」
へたり込んで、会話に違和感を覚えたのか恐怖に満ちた怯え顔の女性を指差し、
「朝比奈みくるさんです」
名乗った。
聞き覚えはないとは言えない。だが俺の記憶のどの部分ともリンクしない。
と、古泉と名乗る男が近づいてきて、枕元にあるナースボタンを押してから付け加えた。
「あなたのベッドの向こう側で寝袋に包まれているのが涼宮さん、涼宮ハルヒさんです」
ベッドの下に目をやると確かにそこには寝袋があった。涼宮と呼ばれる女性は俺とは反対側を向いて寝ていて、綺麗な黒髪だけが俺を見ていた。
俺は男のほうへ向き、とりあえず聞いておきたいことを聞くことにした。
「それで、ええと…」
俺が何と呼んだらいいのか思案していると、
「古泉で結構ですよ」
とのことだ。
「そうか。それで俺と古泉、キミや朝比奈さん、涼宮さんとはどんな関係なんだ?」
「同じ部活の仲間ですよ」
自分の事をもっと聞きたいが聞けない。記憶がないから。
聞きたいことはたくさんあるのに聞けない。記憶がないから。
聞きたいことがなんなのかわからない。記憶がないから。
何もないところには疑問はそう多くは生まれない。それに、真っ青な顔をした朝比奈さんを見ているとこれ以上質問するのも憚れた。
いつの間にか止まっていた体が、また、震えだした。
何だかんだと中途半端なままのSSが放置されぎみな我がサイトですが、少しずつ消化していきます。
それはこれからのことですが。
さて、最近長門モノばかり書いていたので、ハルヒに手をだしました。
佐々木モノも書きたいのですが分裂ー驚愕がアレなのでうまく佐々木を書き出せないのですorz
朝比奈さんモノは非常に苦手です。なんで書けないのかな?かな?
そ れ で 、 今回は分裂が出る前の、『涼宮ハルヒの奔走』をイメージして書いてみました。
どこかの某掲示板で少しだけ噂になったアレです。
『キョンが記憶喪失?キョンの記憶を取り戻すためにSOS団が(ry
涼宮ハルヒの奔走』
こんな感じですかね。SSな上作者が私なんで大分チープで簡素で短い話ですけど、冒頭だけ載せておきます。
近々キョン以外の視点でSS書いてみようとも思ってます。
早く驚愕でないかな(;д;)
遅くなって申し訳ありません。
いつも励みにさせていただいているWEB拍手の返信ですが、
2:03 SS最高でした!ところで 携帯版を携帯で見ると文字が異常に大きく表示されます ぜひ改善を!
といったご指摘をいただきました。
html構文にはまったくといっていいほど知識がないため、パソコンと同じ書式での文章となっていた可能性が高いです。
週末までには改善して報告したいと思います。
掲示板に何も表示されないと言うトラブルが続いております。
原因の方を調べておりますが、なにぶん個人での運営の上、わたくしまったくの素人ですので
何がなんだかわかりません。
もしかしたらこのまま掲示板はいったん閉鎖するかもしれません。
レンタル掲示板としてlivedoorさんから借りているものなので問い合わせをおこなって結果次第となります。
ごふべん、ご迷惑をおかけいたします。