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SSの続き 2007.11.21 17:06

 


 2章が一番長いつくりになっています。
 で、3章からは再びホームページのほうに載せます。


 ……もう少ししたら。


 現地(西宮市)に行った時に思いついたネタで、あまりにもありきたりなストーリーです。
 オチとか見えても気にしないでください。












 2章


 その後、古泉が押したボタンの効果が発揮されて医者が数人のナースを引き連れてやってきた。
 俺は色々な検査を受けたあとで医者とおふくろらしき人物との三社面談を果たし、結果は完全に記憶喪失であると断定された。
 記憶は明日戻るかも知れないし一生戻らないかもしれないだなんてどこかで聞いたような説明を聞き流し、隣で絶望に似た表情の、おふくろと呼ぶには抵抗の残る中年のおばさんを見て、なぜかすごく申し訳のない気分になった。
 おふくろは妹を家においてきたから一旦帰ると言ったが、正直俺には考える時間がほしかったのでまた明日来て欲しいと言った。
 ごめん。そう口には出さずに呟いた。

 病室に戻ると古泉と朝比奈さんを後ろに控えさせた涼宮さんと思しき人物が仁王立ちで俺と対峙する格好で待ち受けていた。
「アンタ、記憶喪失なんだって?」
 不機嫌そうな表情で、しかも偉そうに言い放った。威圧するような態度だが偉く美人だ。艶のある黒髪に整った顔立ち。気の強そうな瞳を僅かに動かし、薄桃色の唇を開いて。
「アタシのことも覚えないの?」
 何も言えずにいると涼宮は唇をかみ締め、眉間に力を込めて黙り込んだ。何を言ったらいいのかわからないといった表情だ。
 もちろん、何を言ったらいいのかわからないのは俺もだ。情報が足りないどころかまったくないわけだし。


「さて、涼宮さん。彼もお疲れでしょうから日を改めて…」
「わたしはここに泊まるわ」

 涼宮はきっぱりと言い放った。

「一晩中SOS団の活動を聞かせてやるわ。そしたら記憶が戻るかもしれない。それでも記憶が戻らなかったらSOS団でやってきたことを繰り返してやる。それでもムリなら引っ叩いてでも取り戻してみせる」

 最初に思ったのは、強引な女だなってことだった。そのあとで『SOS団』というものに疑問を持った。そして、泊まると言い放った涼宮と俺の関係にも。

「俺はそのSOS団ってやつに所属してるのか?」
「当たり前じゃない」
 涼宮は怒気を含んだ口調で言った。あたしが団長で、アンタは団員一号。二号はここにはいないけど有希って言う文学少女がいるの。みくるちゃんが団員三号兼メイド長兼マスコットよ、と朝比奈さんを指差しながら言う。最後に、と古泉を指差して謎の転校生で副団長の古泉くんよ、と。まるで我が事のように誇らしく団員を紹介する。なるほど、泊まるとまで言ったのはこいつの仲間意識の強さゆえか。

 涼宮が言うにはどうやらこの病院を手配したのは古泉らしい。こんな高級な病室を手配できるなんてさすがは副団長とか言ってたっけ。知り合いの病院だから特別の待遇を受けられるらしいが、古泉ってどっかの御曹司なのか?
 この病院に入院できるのが古泉のおかげだとはわかったが、なぜ俺が入院することになったのかは教えてくれなかった。

「古泉、俺とは仲が良かったのか?」
 古泉はスマイルを崩すことなく言った。
「いずれ親友の肩書きを得る予定です。今はただのグッドフレンドですけどね」

 程よい寒気を感じた。


 それでは、また明日来ますと言って古泉と朝比奈さんは帰っていった。
 残された俺と涼宮は、しかし何を話すでもなく定位置についた。俺はベッドに、涼宮は来客用に設置されたであろうパイプ椅子に腰掛けた。
 説明が好きそうな古泉と違い黙った涼宮といると多少居心地の悪さを感じる。パイプ椅子に腰掛けた涼宮は無言で何かを疑うように俺の顔を見てくるし、何と言っても美人であるから緊張してしまうというのが3分の1の本音だ。
 俺はベッドに寝転がって沈黙を打破できればという願いを込めて口を開いた。

「なぜ古泉も、その、涼宮もここまでしてくれる」
 涼宮は一瞬悲しそうな顔を見せたかと思うと怒った顔になり、顔を赤くしながら
「SOS団の大切な団員だからよっ」
 と言ってそっぽを向いてしまった。しまった、と思った頃には涼宮の機嫌はかなり損ねていたと思う。

 額に手をやり、どうしたもんかと思案していると、涼宮が真面目な顔つきになった。
「あんた本当に覚えてないの?」
 最終確認のように言われる。
「ああ」
 何か、涼宮に対してひどいことを言ってしまった気がした。涼宮と俺がどんな関係なのかは知らないが、ここにいる俺は姿形に言動までソックリかも知れないが、思えの知っているキョンではない、と。SOS団で活動してきたキョンではなく、生後数時間のキョンもどきみたいなものだ。事実とはいえ、そんな『今日からこの人がお前のお母さんだ』みたいな現実を突き詰めてしまった。
 涼宮は俯いてしまった。罪悪感がこみ上げる。胸が締め付けられる。鼓動が早まる。胃がきしむ。空気が重い。間が持たない。

「なあ、俺はどんなやつだった?お前とはどんな関係だったんだ」
 涼宮がピクリと動く。
「さっき言ってたよな。SOS団の活動を聞かせてやるって。聞かせてくれよ」
「あんたはSOS団の雑用で、あたしのいわば部下よ。上司にモノを頼むときっていうのはそれなりの口の利き方があるんじゃない?」
 ニヤリと笑った涼宮は上から目線で言ってきた。なるほど、こいつはこういうやつか。

「やれやれ」


 そして俺は、涼宮から俺の学生生活を聞いた。
 SOS団の活動内容、SOS団設立の経緯。部室の確保とおまけでついてきた部員。朝比奈さんの捕獲と朝比奈さんを使ったパソコン強奪事件。転校生古泉がSOS団にはいったのはこのころらしい。
 それから不思議探索へ行き、野球大会に出場して、映画撮って、夏休みには孤島へ冬休みには雪山へ行ったとか。団員は俺を含めて5人だけど、準構成員として俺の妹がいることや鶴屋さんという人もいるらしい。そういえば目を覚ましたときに見た山は鶴屋さんの家が所有しているらしい。
 他にも語りきれないほどの思い出があるようで、次々と細かい話を移り去って行く。

 話をしている涼宮はとても楽しそうで、話の内容も実話ながらバカみたいで面白く、俺はずっと涼宮の話に聞き入っていた。
 なんだずいぶんと楽しそうな高校生活を送っているじゃないか。SOS団の、とりわけ俺の失敗談を話している涼宮は生き生きとしていた。
 何時間話したのか、涼宮が話しに一区切りをつけたころには辺りは真っ暗だった。古泉や朝比奈さんが帰ったときにはオレンジ色の夕日が空を漂っていたから相当な時間が経過しているはずだ。よくぞ飽きずにここまで話せるものだ。聞くほうとしては面白い話ばかりだったから飽きるなんてことは考えられんが。

「なあ、涼宮」
 なによ、とこっちを見る。
「その、ありがとう」
 涼宮は驚愕に満ちた表情を浮かべた。……どうやらキャラを間違えたらしい。想像はできたことだが涼宮の知っている俺と今の俺は完全に別人のようだ。
「団員の心配をするのも団長の役目よ」
 そっぽ向いてしまった。


 少しして、弱々しいノックの音が聞こえた。
 俺よりも先に涼宮が返事をし、開かれた扉からはセーラー服の少女が姿を現した。
 直感的にわかった。こいつが長門有希だ、と。

 短めの髪の下に人形のように綺麗な顔がのぞく。キラキラと輝く星を持つ涼宮の瞳とは違って漆黒の輝きを持つそれは無表情ながらも「放課後職員室に来なさい」と言われた子供のようなオーラをかもしている。
「あなたと二人で話をしたい」
 長門とやらの言う通りにしたほうがいい、と頭よりも先に体が長門に対してのセーフティ信号を出した。
 俺は涼宮を見た。涼宮はなんとも形容しがたい表情を浮かべている。
「ちょっと、出てくる。待っててくれ」
 涼宮が何を考えているのか、長門に連れて行かれる俺をどう思ったかはわからなかった。


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